株式会社Mong Teng はSDGs の活動に賛同しております。
2015 年9 月に国連で開かれたサミットで採択された「持続可能な
開発のための2030 年アジェンダ」。この国際社会共通の目標の核と
なるのが「持続可能な開発目標」、通称SDGsです。
このSDGsは17の目標で構成されており、より細分化された合計169もの ターゲットが紐づけられています。株式会社Mong Teng では、この「2030年 までに達成すべき17の目標」の中でも「12.つくる責任・つかう責任」の「世 界の食料廃棄を半減する」というターゲットを一食品販売事業者として強く意識し たビジネスモデルの構築を推進し、持続可能な社会の実現に向けて世の中に必要と される公器となることを目指しています。
Una casita《おなかすいた》は青果と加工食品のみを販売するちょっと変わった食品小売業です。私たちが販 売する青果は「産地で供給が過剰になっているもの」と「一般のスーパーが取り扱わない規格外のもの」を積極的に取り扱っています。そして加工食品は「賞味期限の比較的長いもの」のみを販売し、「メーカー返品は絶対にしない」 ことを創業以来徹底し続けています。普通のスーパーさんに比べてお店も狭いうえに、お魚やお肉もありませ んし、牛乳や納豆などの日配品もありません。ちょっぴり不便なお店です。 でも私たちは「食品ロスの削減」という社会的課題に向き合うため、そして「持続可能な社会の実現」に向け て可能な限り取り組むために、思いっきり尖がったコンセプトのUna casita《おなかすいた》を一つの選択肢 として、お客様にご提案していきたいと考えています。
農林水産省のホームページには、毎年度の食品ロスの量の推計値が発表されています。ちなみにその量の内訳
は事業系が352 万トン、家庭系が291 万トンの合計643 万トン、なんと国連世界食糧計画による食糧援助量の
およそ2 倍にもなるんだとか。ただし、この643 万トンという数値はあくまでも推計値なので、その算出方法
に関しては色々議論の余地があるようです。それでも、コンビニやスーパーなどによる恵方巻の過剰廃棄問題
に見られるように、私たちの身近なところで日常的にかなりの量の食品ロスが存在することに疑念の余地はあ
りません。
しかも驚くことにこの推計値には、豊作時などに畑で廃棄される農産物は含まれていません。農作物は天候の
影響を最も大きく受けるので、適度に雨が降り温暖な天候が続くと畑には立派に実った作物が一気に育ちます。
本来であれば来週や再来週に出荷するはずだった作物が今週中に収穫しないと育ちすぎてしまい、食べられな
くなることもあります。そして供給過多に陥った作物はマーケットで値崩れを起こします。
青果流通では、不作時には豊作時に比べて品質が大きく悪化する反面、相場が高騰してしまうという特性があ
ります。天候不順が続くとスーパーなどで茶色くなった小玉のレタスが一玉400円以上で販売されているの
を見かけることがありますが、これは不作時に起こり得る典型的な例です。
逆に豊作時の青果は品質が向上する反面、相場は下落します。そして消費地までの物流経費や梱包資材代を回
収できないぐらい相場が暴落した時、産地での大量廃棄が起こるのです。これ以上ないというぐらい立派な作
物を、農家さんが手塩にかけて育てた大切な作物を、泣く泣くトラクターで粉砕していくんです。これ以上に
悲しい「食品ロス」ってあるんでしょうか。
こうした農作物の食品ロスが起こる背景には、いくつかの要因があります。その一つが好天候に起因する突発
的な供給過多に対して、需要が追い付かないというミスマッチ。そしてもう一つの要因は消費者ニーズの多様
化により、「今の畑の状態」よりも「今日何を食べたいか」が優先されるようになり、それに応えるように食品
スーパーも通年の、あるいは月間の販売計画を立てるようになったことです。
デフレが長く続いてきたこの日本では、小売店同士の競争は熾烈を極めます。そしてバブル崩壊後20余年の
間に、「今の畑の状態」を優先して仕入れを行ってきた地域密着型の八百屋さんや中小スーパーはほぼ市場から
淘汰され、その間に大型チェーン店の寡占化が進みました。
結果、私たちの生活はより便利になり、いつでもどこでも欲しいものが買える世の中になりました。そしてそ
の便利さとトレードオフの関係で、食の蛇口であった市場が疲弊し、実入りの減った生産者は減り続け、日本
中が耕作放棄地で溢れかえるようになりました。そして需要とのミスマッチに苦しむ産地では、今日もどこか
で統計には含まれない農産物の大量廃棄が行われているのです。
こうした食品ロスという社会的課題を背景に私たちは、「何をするのか」ではなく「何をあきらめるのか」を考 えました。そして導き出した答えが私たちの運営するUna casita《おなかすいた》なのです。
お客様からはよく「なんでこんなに野菜が安いの?」と不審
がられます。それは「畑でできすぎちゃって農家さんが困っ
てるから!」です。「曲がったり小さかったり不揃いだから!」
です。産地偽装でもなんでもありませんし、ご心配であれば
生産者の畑までご案内します。
いつかこんな不便なUna casita《おなかすいた》でお買い物
することがスマートだって思われる日が来ることを、そして
不便なことに寛容になる人達が今よりちょっぴりでも増える
とうれしいな。
私たちの子供たちに安心してバトンタッチできる持続可能な社会の実 現を夢見て、株式会社Mong Teng は今日も明日も曲がったキュウリ を売り続けます。